人生の勝算はコミュニティの大切さ、作りかたを教えてくれる本
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人生の勝算 (NewsPicks Book)
SHOWROOM社長の前田裕二さんの本です。
コミュニティ作りをしたい人はぜひ読むことをおすすめします。
読んでみて、コミュニティ作りに重要だと思ったのは気になったのは以下です。
- 余白の存在
- 一緒に作っている、自分も一員なんだという共同感覚を持つ
- 共通の目的、コードネームを持つ
いくつか本の内容からピックアップしてみたいと思います。
「スナック」が強いコミュニティ作りの参考になる
前田さんいわく、「強いコミュニティを作りたいなら『スナック』のようになれ!」と言っています。
スナックって・・・??

そう、よく町中で見かけるあの「スナック」です。ママがいる方のスナック。夜になるとおじさん達が毎日のように固定メンバーで飲んでるあそこです。
「よく町中にスナックあるけどあれって儲かってるのかな」と思いがちですが実はローコストで運営できる事業形態らしいです。(自宅が兼お店にもなるので工事費がそれほどかからない、人対人のコミュニケーション商売なので必要なのは料理の具材とお酒の仕入れくらいで済むからとのこと)
そんなスナックには以下のコミュニティを強くするための要素が含まれているんです。
①余白の存在
コミュニティを作る上では「余白」が重要です。
「余白」というのはあくまで自分の解釈ですがコミュニティの参加者が「これは自分が入ってあげないとだめだな」と半分「仕方ないなあ」と思えるスペースがあることです。
そしてスナックにおいては「ママ自体」が「確かな余白」として設計されています。
ママは別に必ずしもきれいな女性である必要はなく、時に客より先に酔いつぶれてもいいし、頼りなくてもいい。
むしろ未完成な感じこそが「共感」を生み、「この人のためになんとかしてあげよう」という仲間を作ることができます。
いつしか、「みんなでこのママを支えよう」という結束力が生まれコミュニティを強くしてくれます。
②常連客の存在
スナックは長年通い詰めている常連客によって成立しているため一見さんが入りにくい構造です。
ということは、長年通い詰めるだけの信頼に足る、居心地の良いお店なんだという箔がつくことで評判が広がり、ファンが増えていきます。
「信頼している人のクレジット(信頼)こそが新しい信頼を生む」これもコミュニティにおける鉄則となります。
③仮想敵を作る
スナックではお酒も入るため、お客さん同士のトラブルなども日常茶飯事です。例えばお客さんの一人が酔った勢いでママに対して傍若無人な振る舞いをして、暴言を吐いて責め立てたとします。
そんなとき、常連客は「皆でママを守らなきゃ!」と一致団結し、暴れるお客さんを全力で止めようとします。結果的にコミュニティの結束が強くなります。
他の例で言えば、AKBの総選挙のようにファンそれぞれが各々の推しを掲げて戦うようなことも挙げられます。
例えば人気絶頂の指原を倒すために、松井珠理奈を勝たせるにはどうするか?をファンの間で考えているうちに松井珠理奈ファンが握手券を皆で大量に購入したりSNSで呼びかけるなどをしているうちに、コミュニティ自体が強固になっていく等です。
④秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
強いコミュニティには、ある種の「内輪ノリ」があります。
「あのときは大変だったね〜」という、コミュニティに属しているからこそ知っている秘密のエピソードだったり、共通の話題が出来るなどです。
「内輪ノリ」が出来ることで、自分たちしか知らないルールやコンテクストがあると、コミュニティはより強固なものになっていきます。
⑤共通目的やベクトルを持つこと
大事にしたいもの、同じ目的を持った人が集まっていることも強いコミュニティを作る上での必要要素となります。スナックの場合だとママの余白部分や集まっている常連客同士の絆といったものが魅力になり、ある種共通目的を持った人が集まります。
他にも「好きな音楽が一緒」、「年代が同じ」、「同じ職種」など「ある共通点を持った人同士」というのは一気に親近感が湧きやすく、仲良くわいわいするための場作りまで発展していきます。
なにか1つのテーマがあったほうがコミュニティ内に所属する人々の意識が統一されやすくなります。
というように、実は「スナック」のような姿を目指すことでコミュニティは強くなっていく・・・というのが前田さんの主張でした。
ファンの中の人化
「えんとつ町のプペル」(キングコング西野さん)の事例
お笑い芸人であり、「えんとつ町のプペル」という絵本を作った作家の一面も持っているキングコング西野亮廣さんは絵本作りのフローの中で「共犯者を作る」と言っています。
「えんとつ町のプペル」はクラウドファンディングで「お客を一気に中の人化」しました。お金を払うことで企画会議に出たり、絵本作りの工程を手伝えたり、「西野亮廣の絵本作りの参画権を得ることが出来る」という面白い仕組みだったのです。
一人で絵本を作って10万人に売るのは難しいけど、絵本を10万人で作れば最低10万人が買うであろう。
まさに余白を作り、参加者の入れるスペースを確保してあげたことで「自分もこのプロジェクトの一員なんだ」と感じる中の人を増やしていったことで成功した事例だと言えます。
「よなよなエール」で有名なヤッホーブルーイングの事例
「よなよなエール」で有名なヤッホーブルーイングでは、コミュニティ活動を大事にすることで結果的にビジネスにも活きています。
ヤッホーブルーイングでは、ファンが集まれるキャンプイベントを実施しています。
そこで訪れたファンに社長自らファンに対して商品企画について相談する。
これにより「余白の存在」「客から中の人になる」というパターンが当てはまり
ただこれまでビールを買って飲んでいた人が運営の悩みを聞き、余白を埋めていくようになります。
運営側に巻き込むことで知らないうちに気づいたら顧客としても大ファンになっている。これこそコミュニティの本質だと思います。
超宴というフェスまで開催する力のいれっぷりがすごいです。
コミュニティでも「人対人」のコミュニケーションの基本は変わらない
自分も定期的に軽音サークルのOBOGライブの運営をしてますが、実際にやってみて分かったことは結局「誰からも好かれ、応援してもらえるようになる」ことが一番大事だということでした。
運営だけですべてをやろうとせずに、支えてくれる先輩や後輩に対しても強がらずに弱みを見せて、助けてほしいときは助けてと言える素直さを持つことがコミュニティに余白と強さをもたらしてくれるということを「人生の勝算」で再認識できました。
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