2年間従事してみてわかった「カスタマーサクセスの全体像」まとめ

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僕は、とあるマーケティングツールの会社のカスタマーサクセス部で、オンボーディングを担当しています。 Twitterもやってます。 @miyakoshiyuumei
今日は2年ほど、この業務に携わる中で自分なりに見えてきた「カスタマーサクセス」についてまとめてみたいと思います。

今回の記事のターゲットは以下の方です。
・現在カスタマーサクセス(CS)に関わっている人。
・SaaS企業などでこれからCS組織を立ち上げようとしている人
・顧客の声を集めてプロダクトを改善したいと思っている人
がいれば、何かの参考になればと思います。

カスタマーサクセスの普段やっていることや存在理由が再確認できた!明日からまたがんばりたい!と思ってもらえるよう色々話せればと思います。

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「カスタマーサクセス」とは何なのか

カスタマーサクセスとは

「カスタマーサクセス」とは、「顧客を成功へ導く請負人」です。
元々はアメリカ発祥でSaaS系企業、サブスクリプションサービスの企業などですでに浸透しています。「カスタマーサクセスとは何か」という本の中では、あのウォルマート社にCCO(Chief Customer Officer)つまりカスタマーサクセスのトップとも言えるポジションが新設されたことを紹介しています。自分もそれまで「カスタマーサクセスがあるのって、Web系の企業だけなのかな」と思っていたら、本来店舗型リアルビジネス中心のウォルマートでさえ顧客重視の組織体制づくりをすることを決めたのです。

そんなカスタマーサクセスですが、日本での認知度はまだたったの「3.5%」です。まだまだ知らない方の方が圧倒的多数派であるということが現実です。


【2020年カスタマーサクセスに関する実態調査】必要性を感じていない理由は「メリットがわからない」、 必要だと感じている人の行く手を阻むのは「人材・組織体制問題」

バーチャレクス・コンサルティング株式会社:ニュース

「LTV」と「CAC」を重要指標に動く組織

カスタマーサクセスが重視する指標は「LTV(Life Time Value=生涯顧客価値)」です。また、関連する指標として「CAC(Customer Acquisition Cost=顧客獲得単価)」も重要な指標です。

顧客をサポートしプロダクトの価値を感じてもらうことで「チャーンレート(解約率)」を改善し、LTVの改善を図ります。
また、「顧客の声」が最も社内で集まるのがカスタマーサクセスの部署になるため、声を社内へしっかり届けて全体最適することで、結果的にCACの低下にもつながります。

3つの「タッチ」で顧客と伴走する

顧客と「タッチ」する方法は大きく分けて「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3つです。一つずつ解説していきます。

ハイタッチ

顧客と「1対1」の接点を持つこと。基本的に対面や電話でのミーティングなどを通し、顧客へサポートを行う。対面ならではの積極的なアドバイスや相談に乗る等の濃密なコミュニケーションを取ることが多い。

ロータッチ

顧客と「1対n」の接点を持つこと。サポートセンターでの顧客対応やイベントやセミナー開催や、ツールの講習会、ユーザー会などがこれに当たる。ハイタッチと比較すると1社あたりのサポートは標準化、効率化されている。

テックタッチ

テクノロジーの力を使い、顧客と「1対多数」の接点を持つこと。※ロータッチとの違いはテクノロジーの力を使うことと、ロータッチよりもずっと広範囲の顧客へ対応できることです。ヘルプページ作成やマニュアルの配布などを顧客が活用し、セルフサーブで解決してくれること。

上記で挙げたものにはそれぞれメリットデメリットが存在します。ハイタッチになればなるほどサポートの質は高くなるものの、担当者のリソースが課題になりますし、テックタッチに走りすぎても顧客の解像度が低いと提供するコンテンツにずれが生じ、セルフで解決まで導けなくなってしまうパターンまで様々です。
そのためあらかじめ複数のタッチポイントを用意しておき、顧客の様々なシーンの問題解決に対応ができるように揃えていくことが重要です。

具体的に何をやっているのか?

ざっくりカスタマーサクセスの概要を書きましたが、「具体的に何をやっているのか」についてまとめてみたいと思います。

僕の所属部署の商材がマーケティングツールなので、基本的に毎回ぶち当たるのは「顧客の【マーケティング】課題を解決する」ことが求められます。

かといって、ツールを入れれば即成果が出る…というものでは全然ないです。あくまでマーケティングを「やりやすくする」ためのツールなので、そこに顧客のツール活用と、顧客自身の努力が伴わない限り絶対に成果は上がりません。

この辺りは、同じマーケティング系SaaSの皆さんと勉強会したりすると「マーケツールあるある」が止まらなくなります。。。そもそもマーケティングの知識がなければ顧客を導くことができないので、勉強は常に欠かさずにやる必要があります。

僕たちの会社ではカスタマーサクセスは以下の各ポジションに分かれてサポートを行っています。(あくまで例ですので、業界やサービス種類によって異なります)

オンボーディング:

ツール利用開始の立ち上げ期を担当。利用目的を明確にし、顧客がマーケティング活動を行う上での「ターゲット設定」から行う。その後ツールのセットアップと、ツールを実際に運用してもらいながらマーケティング施策を実行してもらうところまでを伴走。(できればコンバージョンを発生させるところまで行かせる)

アカウントサクセス:

オンボーディング後の継続支援を行う。顧客の成果を最大化するために、改善提案や場合によってはアップセルを行い、施策の肩代わりをこちらでする。利用目的のずれや体制の変更がある場合は再オンボーディングすることも。担当顧客数も多いため最も「顧客の声」が集まるポジション。

テクニカルサポート:

カスタマーサポート部隊。顧客からの問い合わせ対応を行い、ツールの操作方法説明や操作レクチャーなどを行い、顧客の問題を喫緊で解決したいニーズに対して応える。問い合わせをもらってから即時対応が肝になるため、シビアな時間感覚と即座の対応力が求められる。

カスタマーマーケティング:

顧客の直接対応は行わないが、顧客のツール活用率のスコアを確認したり、まだ可視化できていないデータを整え、カスタマーサクセス全体のより効率的な動き方を考えていく戦略家的ポジション。データアナリストのような側面を持っているため、仮説を立ててデータ分析を行う力と、現場感覚のバランス感が必要。

まず守るべきは「チャーンしないこと」

と言っても、どうすればチャーンしないのか?を考えた時に色々な要因があると思います。

例えば…
・ツールの費用と感じている価値のバランスが取れていること
・ツールを使って、顧客の成果が出ていて、顧客の事業に対して貢献ができていること
・顧客との関係値が良好で、信頼関係を築けていること(個人的にはただのベンダーで終わらずに、ツールに関係ない相談をしていただける状態がベスト)
など、場当たり的な対応が必要な時もありますが、理想としてはそもそもチャーンさせないための根本的解決を図っていくことです。

「ツールと顧客の感じる【価値】のギャップを埋めていくことが、カスタマーサクセスの役目だ」とCS界隈で有名なABEJAの丸田さんがおっしゃっています。(記事が見つけられませんでした涙)

超辛かったオンボーディングチーム立ち上げ期〜現在までの変遷

自分が今の会社に入ったタイミングはまさに「オンボーディングチーム」を新設するスタートからでした。自分自身マーケティングの経験が浅い中、ゼロからの手探りで、ひたすら理想形を探しながら、型を作っては壊してまた作り直してきました。

1.とりあえずハイタッチ期

・目標は今考えれば謎だった、「ログイン率」と「サイトの更新率」
・スコアの計測日直前に連絡して、無理やりログインさせていた
・イマイチツールが定着している感を感じられなかった

2.鬼ハイタッチしつつ型を作ろう期

・様々なパターンが増えてきたことで、求められるサポートが異なっていた
・とにかく全部鬼ハイタッチして解決まで持っていった
・オンボーディングの「型化」を進め、一旦型を作ってみた

3.回していくうちにボロが出る期

・型通りに案件を回し始めると、うまく回らないパターンが出てきた
・「様々なパターン」を分解して5つのターゲットに分解
・「狙うべきターゲット」を定め、やらないことを決めた

4.見直して少しずつ改善してきた期

・ひたすら「成果」とは何かを考えたら、「問い合わせが生まれる」ことだけではなかった
・「顧客がツールを使って、マーケティング施策を回せること」をゴールに設定
・顧客が行うべきマーケティング施策のパターンが見え、どういったサポート方法が必要か分かってきた
・チャーンレートが劇的に改善!成果につながった顧客が増えてきた

5.さらに本質的な課題が発生期

・「施策をしっかり実行する」だけでは顧客が現在地を見失ってしまうことが判明
・KPIの設計から落とし込み、「自分がどこにいるのか」を理解しながら施策へ取り組んでもらえるように再設計
・社内で使っている人が評価されるか?
・ツールを使っている担当者が社内で出世できるか
・見える課題の「イシュー度」が上がってきた!

基準を見直し続けたことが本質を見ることにつながった

最初の頃は、ログイン率や利用率を取ってみたり、もっと多数の指標スコアを取って何がなんなのか訳が分からなくなったり、スコアよりも施策を実行ができている状態にフォーカスしたり、でもそれだとダメでやっぱりKPI設計が大事だとなったり・・・

今思えば行き当たりばったりな基準設定ではありましたが、結果的に顧客がツール活用してくれるまでの本質へ至っている感覚を掴むことができました。

また、指標が変われば、個々人の目標・ミッションも変わり続けた2年間でした。様々なアイデアが飛び交い、気づけば一人ひとりが施策を同時に何個も回し続けているカオス状態になっていました。

そうした施策を回しながら、頑張って支援した先の止むを得ないチャーンは「強烈なボディーブローを食らった」ような感覚を味わいましたが、同時に「クソ忙しく、クソ楽しい時期」でもありました(笑)

やってよかった施策は「徹底したVoC(Voice of Customer=顧客の声)共有」

ハイタッチチームを中心に、ポジティブ/ネガティブ様々な顧客の声をカスタマーサクセス部内で専用シートに取りまとめ、社内で顧客の声を全部署に伝えるための別の会議を作り発信しています。

普段顧客との接点をなかなか持つ機会の少ない別部署に対して現場の声を絶えずフィードバックし続けることで、プロダクト作り、自社マーケティングの施策、営業トークに生かされています。

注意すべきこと

「顧客の声」は集めていくことで自社のサービス全体が顧客からどう見えているのか、視座を正してくれます。ただし、以下の点に注意すべきだと考えます。

顧客の声を聞き、顧客の声を聞かない

まず勘違いして頂きたくないのが「顧客の声を聞くフリをしていればいい」という話ではありません。
会社には様々な制約(ヒト・モノ・カネ)が存在し、その制約下の中における最適解を常に見つけていかなければならず、最も顧客の期待とサービスの現実に直面するのがカスタマーサクセスという職種だと思っています。(個人的に)

様々なユースケースが存在する以上すべての顧客の声を鵜呑みにしてしまうと、サービスの方向性自体がぶれてしまいますので、事業としてどうあるべきなのかを常に自分で問いながら聞く声を選別していかなければなりません。

顧客の声は大きさがまちまちです。複数の声を並べた時、共有の場においては「声の大きさ」がどうしても勝ってしまう。ですが、「それは自社がターゲットとしている顧客の声なのか?」「その声に合わせることはサービスとして正しいのか?」を立ち止まって考えなければ、ひたすら声に左右されるだけになってしまいます。単純な「お客様がそう言っているから絶対なんだ!」という考え方は思考停止以外の何物でもありません。

その場しのぎの「対症療法」で終わらないようにすること

「声としては『A』を指しているように見えるが、実は求めているのは『B』のほうだった」ということは往々にして起こっています。なぜ顧客がそう考えるに至ったのか、本質を見失わないことです。本質を押さえずに対症療法になってしまわないように注意しましょう。

顧客の声に耳を傾けながら「本当はどういう機能があるといいのだろうか」ともう一人の自分が考えるようなイメージです。

本当に顧客のためになることを考える

「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」という言葉がありますが、顧客がサービスを求めることに対して、こちらでサポートすることが本当に解決になっていないことがケースとして起こり得ます。対応しないのではなく、いかに次からは顧客の労力が減らせるか、かつ自分たちの工数もカットできるかの最適解を見つけようとするスタンスを持って顧客の声を読み解きましょう。

「カスタマーサクセス」の考え方が好きです!

僕自身、前職では広告系のベンチャーにいたため売り切り型の広告やスポットの提案営業/オペレーションをやってきましたが、会社の「売上を取るまでが勝負、あとは流しでOK」という感覚についていけず、違和感を感じていました。「せっかくお客さんがお金を払っているのに、全然喜んでないじゃないか!」でも、そこに対して営業費用をかけてまでサポートをすることは許されず、辛かったです。

カスタマーサクセスに従事する方も徐々に増え始めていますが、同じ業界の人と話すといろいろCSやってて辛い部分があるという話も聞きます。これはプロダクトの提供範囲やレベルと、お客様のやりたいこととの間にギャップがあるためです。

間に立つカスタマーサクセスの担当者は「お客さまの実現したいことはプロダクトで解決ができるのか?」「無理な場合、運用でカバーができるのか」「そもそもその内容はプロダクトとして絶対にできなければいけないのか」「必要な機能の場合はプロダクトへどのように伝えればよいのか」と間に立つ局面が多いので、よっぽどプロダクトや今行っている事業に対する愛がないとやっていられないでしょう。

でもカスタマーサクセスでは顧客のためになることが正解になります。やるべきことに対して全力でサポートすることが求められるし、それによって顧客の成果が出ればお互いに喜び、称賛される。
だからこそ「カスタマーサクセス」という考え方が自分には合っていて好きなんだなと思います。

ということで今回は2年間カスタマーサクセスに従事してきた中で学んだことについてまとめてみました。新しい職種かつ王道がないものと思うので、同じ界隈の方とも交流しながら引き続き解明していけたらと思います。長文にも関わらずお読みいただきありがとうございました!

カスタマーサクセス関連で前に書いた記事はこちらです。よろしければご覧ください。

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